残と余 =足利直冬=



     あくまでもはらにけにくし・・・・か
       これから先もあだくねと申すのなら
     文目あやめくらいわきまえていればよかったものを
     全ては己が責だろうに


     生まれながらにしてされた烙印
     湧き上がる、情、思い、望み
     それは
     まことに心の底からのものなのか?


     ただす言葉が持てない
     ただすことも出来ない
     幾度も夢見ては破られた
     ・・・・その度に泣き崩れた


     ずっと縛られていた
     ずっと縛られ続けている
     望む望まざるに関わらず・・・・・・
     そしてこれからもずっと


     えぐられた傷痕だけが残る
     それが 血の他に持てる唯一無二の繋がっている証
     己の血潮でその身を染め上げれば・・・・
     貴方は大いに満足するのだろう?


     自由だったら
     名も無き者だったら・・・・
     何故ゆるされなかったのだろうか?
     疑問に応える声は ――ない


     かしられたこんられたはく?
     かしられたはくられたこん?
     いずれか全てか
     どちらにせよ名からは救ってなどくれはしないのだ  



---------------------------------------------------------------------------------------  憎悪でも嫌悪でも一度でも貴方の心を占めたのなら、もうそれでいいのかもな・・・・。